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2020年11月17日

飲めるみりんがあると聞いたので買って飲んでみた!

調味料としてお馴染みの「みりん」。実は、飲めるみりんという物が存在するらしいです。
「みりんって、あのみりん?」。そう、漢字だと味醂と書く、あのみりんです。

ちょっと先入観を捨てて、みりんを飲んでみたいと思います。

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けいたろう

KEITAROU

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1977年、兵庫県の淡路島生まれ。旅するグルメライターを名乗っていますが引きこもりで人見知り。
47都道府県制覇もあやうい。お酒を飲むとにすぐに眠くなっちゃう。

そもそもみりんと日本酒の違いは?

 

さて。みりんですが僕の認識としては「甘さや照りを出すための調味料」

 

というくらいの知識しかなく、実は日本酒との違いもよく分かってません。製造過程とかが違うとは思うんですが。

 

そこでサラっとお勉強。

 

 

 

 

調べてみると、やっぱり製法が違いました。

 

非常にざっくり説明すると、日本酒もみりんも蒸したもち米に麹(こうじ)を加えるところまでの工程はほぼ同じ。そこから日本酒は米の糖を分解・発酵させるのに対し、みりんは発酵を経ずに糖化・熟成させて作るようです。つまり、みりんは糖を分解しないので甘みが強くなるらしいです。

 

ちなみに今では完全に調味料としての印象が強いみりんですが、江戸時代には飲み物としてもポピュラーな存在だったようです。古典落語の演目の一つに『青菜』という夏を舞台にした噺があり、みりんと焼酎で作る和風カクテル「柳蔭(やなぎかげ)」が登場します。

 

 

 

 

柳の蔭なんて風流な名前。せっかくなので柳陰も作って飲んでみたいと思います。

 

飲めるみりんを買ってみた!

 

さて。飲めるみりん、存在さえ分かってしまえばAmazonで簡単に入手できてしまいます。Amazonってホント何でもあるんですね。

 

 

「飲めるみりん」と検索し、なるべく美味しそうなのを探します。みりんを「飲んで美味しそう」という視点で評価する日が来るとは思ってませんでした。

 

色々見比べて、美味しそうなみりんを発見。石川県金沢市の酒造メーカー・福光屋さんが出している「福みりん」です。お酒と製造工程が似てるので、酒造メーカーで作ってることが多いようですね。

 

お値段は720ml入りで1900円。調味料のみりんとしては高価でも、お酒として考えると妥当な価格ではないでしょうか?

 

 

数日後。おなじみのAmazonの段ボールで届きました。飲めるみりん。日用品と一緒に買ったので、ちょっと箱は大きめです。

 

 

内箱には「アルコール度数67%以下の商品在中」と書かれています。「そんなに度数高いの?」って心配になったけど、実際の度数は14度くらい。たぶん消毒用アルコールと区別するための表記なんだと思います。

 

 

みりんの瓶。思ったより、ずっと濃厚な色です。1年、3年、5年など熟成させるほどに色が濃く、黒っぽい色になっていくそうです。ちなみに、今回の「福みりん」は3年熟成もの

 

みりんに熟成という概念があるということも今回初めて知りました。

 

飲めるみりんを飲んでみた!

 

まずは本来の味をしっかり確かめるために、ストレートで飲んでみましょう。夏のカクテルに使うくらいなので冷えてる方がいいだろうと、冷蔵庫でキンキンにしておきました。

 

 

みりんの状態がよくわかるように、ショットグラスに注ぎます。トロリとしていて、かなり粘性の強い液体。クイッと飲んでみましょう。クイッと。

 

 

甘っま!

 

まぁ正直、甘みを出す調味料ですし、飲む前からそうくるだろうと予想していました。でも思った以上。風邪薬シロップとか、そういう類の味。 “甘いお酒”としてのレベル感は杏露酒と同等か、それ以上。ちょっと黒糖っぽい感じもします。

 

でも、不思議と美味しい。和風でベタベタしてるんだけど、懐かしくて優しい。法事とかでたまに会う、世話焼きで距離感の近い親戚の叔父ちゃん。そういう感じ。

 

意外と女性受けするお酒かも知れません。いや、みりんか。

 

みりんをいろんなバリエーション飲んでみる!

 

ストレート以外に、いろんなバリエーションも試してみました。

 

まずは定番のロック。氷を入れたグラスにみりんを注ぎ、軽く馴染ませれば……

 

 

「みりん オン・ザ・ロック」の完成。飲んでみると……当たり前ですが、液体の粘り気と甘みがかなり薄まっています。しかし、香りはむしろ、ほんのり強くなったような気が。飲みやすくなってはいますが、個人的にはストレートの方が美味しく感じました。

 

 

次は、みりん オン・ザ・ロックに炭酸水を加えてソーダ割に。つまり「みりんハイボール」。

 

こちらも甘みは薄まったものの、ちょっとフルーティーな飲み口に。梅酒ハイボール的なのが好きな人には、オススメかも。

 

 

さて、お待ちかねの「柳蔭」。みりんと焼酎のハーフアンドハーフです。合わせる焼酎は近所のスーパーで売っていた米焼酎にしました。米同士で相性がよさそうですし。

 

 

グラスにみりんと焼酎を同量入れて

 

 

軽く混ぜれば完成。江戸時代からの由緒ある和風カクテルの再現に成功しました! みりんと焼酎を混ぜただけですが。

 

さっそく飲んでみると

 

 

美味い! めっちゃ美味いです。

 

みりんの甘ったるさと焼酎の飲みづらさ、双方の欠点が良い感じに相殺されて、すごくスッキリとした飲み口になっています。この時点で完成度が高く、バランスのよさに感動。なので、炭酸を入れたりするのはやめておきました。

 

ただ、この柳陰、アルコール度数18.5度とけっこう高めです。 (※みりんが14度、焼酎が25度なので、39÷2=18.5度)

 

あとはやっぱり、飲み物としては濃厚すぎるきらいも。ちょっとノドに残る感じがするので、チェイサーの水は必須かもしれません。

 

 

みりんのパッケージに「日本酒と割っても美味しい」との記載があったので、試してみました。

 

ですが、うーん……。日本酒の風味が強く、うまく調和していない感じ。もちろん美味しいのですが、個人的には柳蔭の方が好きです。

 

というか、柳蔭が美味しすぎるのかも。なんというか、「みりんと焼酎を混ぜたら、こんな味になるだろうな」という想像を裏切る意外性がありつつも、しっかり美味しい。先人の偉大な知恵に感服という感じです。

 

飲めるみりんで照り焼きを作ってみた

 

 

せっかくいいみりんを買ったので、調味料としても使ってみましょう。みりんを使う定番料理といえば、やっぱり照り焼きですよね。

 

 

ブリと鶏をそれぞれ照り焼きに。ついでに、みりんを使わないバージョンも作ってみました。なお、みりんの甘さを感じるために、砂糖は不使用で。

 

 

まずはブリ。奥が片栗粉のみの素焼き、真ん中が醤油のみ、手前がみりん+醤油です。

 

と、書かなくてもハッキリと違いが分かりますね。みりんをまとったブリは、テラッテラにツヤが出ています。光沢が美しい。

 

味も全然違います。醤油だけだとトゲトゲしい感じですが、みりん入りはとってもまろやか。もしかすると、これまでの人生最高のブリの照り焼きなんじゃ……。片栗粉を付けたことで、パサつかずしっとり仕上がったのも勝因かもしれません。

 

 

鶏の照り焼き。右側が醤油のみで、左側がみりん入り。こちらも一目で判別可能。

 

 

付け合わせのレンコンも、みりんを入れるかどうかで明らかな違いが。醤油のみは、のっぺりとしたシルエット。みりん入りはキラキラと光が乱反射して立体的です。

 

 

当然、味もみりん入りの圧勝。なので、醤油のみバージョンも撮影後、結局みりんを入れて作り直しました。

 

 

というわけで、飲めるみりんは、飲んでよし、調理に使ってよし。冷蔵庫にこれが1本入っているだけで、生活の質がぐっと上がった感じがします。

 

買って大正解でした。